厳冬期 北八ヶ岳「東天狗岳(2643m)・西天狗岳(2646m)」

ツエルトの外に出ると突き刺すような寒さを感じる。空は曇っていて薄暗いが道ははっきりわかるであろう明るさだ。ツエルトの外にはNikonD70(カメラ)とCASIO Pro-Trek(登山用時計)がある。実はその他いくつかの品とともに置きっぱなしにしていた事はビバーク中に気づいていたのだがツエルトの外の寒さに触れるのがイヤで数メートルの距離に置き去りにしていたのである。どこか壊れているかという心配も若干あったが双方とも液晶の表示が極寒で少し鈍っている意外はなんら問題なく動作した。寒さによるバッテリの消耗が懸念されるカメラであるが私のNikonは全く問題なかった。体を温めるべくキビキビと動きツエルトをたたみ出発準備完了。6:30に渋の湯を目指して唐沢鉱泉を出発した。寝てはいないが、昨日ムリに渋の湯を目指して出発しかけた時に較べれば体力は大分回復している。そもそも明るい事が何にも増して心を落ち着ける。峠を越す深い雪のルートを本当のゴールに向かい進みだした。トレースがあり、昨日の条件に較べればトレッキングともいえる帰り道で、正直何も書くべき事はない。ただ一歩一歩が生還への実感をこみ上げさせたとだけ言っておこう。この間いろいろと想像させられた。暖かい風呂に食べ物、飲み物・・・。想像するだけで幸せになってくるのと同時になんとも言いがたい想いがこみ上げてくる。爆発的な喜びではなくジワジワとくる安堵感とでも言おうか。

こうして初の冬山は数々の教訓を残して終わる事となった。ここで教訓と書いたのは反省点が感動をかなり上回る量であったからだ。
次回は山行報告の総括として反省点、教訓を示し次回への糧としたい。


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