SILENT STUDIO


1 まずはミキサーとディストリビュータ、レコーディングもするならMTR
サイレントスタジオをつくるのはそれほど難しいことではない。基本的にエレクトリック楽器とヘッドフォンがあればそれで出来上がり。でもやるからにはやはり人の演奏やシーケンサーに合わせて演奏したい。そこで必要になるのがミキサー。ミキサーがあれば何人もの演奏をミックスして、各プレイヤーの音量バランスをとったり、左右のバランス(PANPOT)や高音、低音のバランスを調節することが出来る。ただしミキサーにはたいていモニター用のヘッドフォンが一つしか接続出来ない。スピーカから出せばみんなで聞けるが、これではサイレントにならない。そこで登場するのがディストリビュータである。1つのINPUTを複数のOUTに変換するヘッドフォンアンプである。アンプ内蔵なので音量が小さくなることもない。それぞれのOUTに音量ツマミがあるので各人好みの音量でモニタリングすることが出来る。ただヘッドフォンが悪いとやはりいい音は聞けないのでそれなりのものを用意したい。値段で全てきまるわけではないが、最低でも5000円、出来れば1万円以上のものを使いたい。まーこれはメンバーそれぞれで購入すればいいわけであるからそれほど負担にはならないはず。STKではミキサーとしてYAMAHAのMTR「MD4S」を使用している。8チャンネルのアナログミキサー兼4トラックデジタルレコーダだ。ディストリビュータはFostex社製の「PH-50 HEADPHONE AMP DISTRIBUTOR」を使用している。これはヘッドフォン端子が5個、AUX-IN1つ、それぞれのヘッドフォンへの入力が1つづつ、計5個ついているすぐれもの。MTRのヘッドフォン1つを合わせて合計6人がモニターできることになる。またYAMAHAからミキサーとディストリビュータを兼ねた製品「SX-6」が発売されている。これのみで最大6人までのサイレントセッションが可能。


2 シーケンサーがあると一気に幅が広がる。MTC同期を使いこなせば少ないトラック数でも分厚いサウンドを作れる。
バンドを組んでいてもそうそうメンバーが集まれるものではない(社会人は特に)。そういう時にシーケンサーがあると便利。自分以外のパートをパソコンのシーケンスソフトで打ち込み、それを再生して聞きながら練習することが出来る。さらにバンドメンバーがあつまって練習や録音をする場合でも4人で4トラック使いMTC同期でMIDIをシンクさせれば相当な音の厚みになりかなり納得できる音に仕上がるはず。


3 サイレントセッションドラムでセミプロ仕様のスタジオを目指す。
ドラムをはじめたいけど、スタジオに行かないと練習できない、ある程度は叩けるけどいつでも叩けるように自分の部屋にドラムを置きたい。そう思っている人は結構多いはず。そういう人のために登場したのがサイレントセッションドラム。YAMAHAやRolandから発売されている。実際にはポコポコなるだけでヘッドフォンを通すと生に近いサウンドを得ることが出来る。叩き具合によって音量もかわり、叩く位置によりリムショットも可能。ハイハットのオープン、ハーフオープン、クローズも左足で微妙に調整することができる。叩いた反動も本物に近く、サイレントスタジオを作りたい人にとっては最高の製品。ストレス解消にもってこい。ただしバスドラだけは振動が発生するのでアパートやマンションの2階以上で使う場合は下にクッション等を入れて振動をやわらげる必要がある。夜中は叩かない方が無難。大音量で聞くにはそれなりの出力に耐えるヘッドフォンが必要。Victorのヘッドフォンは大抵低音に強いので(といっても安物は駄目)大音量でも音が割れることがないのでオススメ。


4 ボーカルブースはなんと3000円以下で自作できる!
自分もつい最近までサイレントスタジオを作ってもボーカルだけは静かにしようがない。大声で歌うならやっぱりスタジオに行くしかない。結局インストのセッションしか出来ないじゃないかと半分あきらめていた。が、しかし! 人間やればなんでも出来るのである! そう、防音室をつくればいいのである。え〜?防音室?そんなのウン十万円もかかるじゃん。 誰もがそう思うはず。たしかに業者に頼んで部屋を防音化したり室内に防音室をつくったりしたらウン十万円どころかウン百万円する場合もあります。けれど・・・そう、金がないなら自分で作ればいい。アイデア次第でどうにでもなるのです。HSSTKではなんと! ・・・ダンボールでブースを作りました。パソコンのディスプレイ用のでかいダンボールを縦に2コつなげて、はい!50cm×60cm×178cmの防音ルームのできあがり〜。もちろんそれだけでは強度、防音の面で心もとないので最終的には3重くらいに重ねて補強してあるけど基本が2つのダンボール。歌う人用のヘッドフォンを中に入れれば準備完了。ここで気をつけるのは音が漏れないヘッドフォンを使わなければならないということ。もれると音がかぶったりハウリングの原因になるので。 で防音テストとしてバカでかい声のYakKEN氏に中で絶叫してもらったときには感動しました。十分防げてるじゃん!となりの部屋ではほとんど聞こえません。マイクも吊り下げ式にしたので持って歌わずにすみノイズも入りにくいです。ただ問題なのは1曲思いっきり歌っただけでめちゃくちゃ暑くなる!(冬でも汗ばむ)ということで機械好きのYakKEN氏がPC用のファンを取り付けて中にスイッチまで置きボーカリストがいつでもOFF/ONできるように改造!かなり快適になった(まー真夏はさすがにキツいだろうけど)。さらに懐中電灯を設置したので歌詞を覚えてなくても見て歌うことが出来る。ホントにウン十万だしてやるより自分でいろいろ工夫が出来て楽しいしやる気があるなら自分で作るべし。