八ヶ岳縦走「硫黄岳(2760m)・横岳(2829m)・赤岳(2889m)・阿弥陀岳(2805m)」

2004.10.16

急登に少し疲れた頃、暗さを感じ始めた。時間は何時だったかよく覚えていないが日没を迎える。しばらくは西の空が赤色で明るかったが標高2500mを超えるあたりではかなり暗くなり、真っ暗になる前に照明の準備をしよう、という事でUDAとカロリーメイトを食べつつヘッドランプを装着して点灯。登山初心者の我々は初めてヘッドランプ使用となる。登山道がわかりやすいので足元さえ照らせば、昼間と変わりなく登る事が出来た。
ほぼ休み無く登るが、なかなか硫黄岳には着かない。その上初の宿泊登山であるためザックの重みが効き、UDAに較べペースが若干落ちることになる。時間は山小屋に着いているはずの予想経過時間の3時間後である18時。まわりはほぼ真っ暗に。。。このあたりからが正に事件の始まりであった。
森林限界を超えた2700m弱のあたりから見通しがよくなり(とはいっても真っ暗だが)頂上が近いのかな?というあたりで突然風が強くなった。その風はとどまる事を知らず正に烈風ともいうべき勢いでごうごうと吹き荒れる!先週くらいに関東を掠めた強い台風22号とあまり変わらない勢いである。あえて気にせず登ってはいくが真っ暗な中でこの強風は知らず知らずのうちに不安感を煽っていく。あせりが出てついつい道を急ぐ。そしていよいよ山頂への岩場となる。どこがベストルートかという判断も暗さのため出来ない。ほとんどまっすぐ岩場を上に向かって登っていく。そして山頂についた時にUDAと空を見て絶句した。。
ものすごい星の数!くっきりと見える天の川!冗談抜きでこんな美しい光景は今まで生きてきて初めての物であった。一体何等星まで見えているのだろう?1500mくらいの温泉宿とかで見る星とはケタ違いの明るさであった。新月に近い三日月という事もあったのだが、以前富士登山で見た星空よりも数倍綺麗であった。。。
しかし、その感動も寒さが急激に我々を現実に引き戻す。のんびり星空を見ている状況ではない。轟々と先ほど以上に吹き荒れる強風。この間の台風と比較して推測するところ、風速15mはゆうに吹いている。手元のPRO TREKを見ると気温は7℃をきっている。。体感温度はマイナス10℃に近い。。。そう、事件とは正にこれである。ビバークの準備のない状態で未だに山小屋を目視確認できないのである!山小屋に到着出来なければ、ほぼイコール凍死の危険が目前に迫っている。硫黄岳山荘の方向を地図から確認して、コンパスで進むべき方向を割り出す。PRO TREKが一回目の方位計測では正しい方向を示さずに焦ったがUDAのアナログ方位磁針と組み合わせて山荘の方向は確認出来た。ただし、真っ暗なのでルートはほとんど確認出来ない。最悪、登山道を外れて向かわざるを得ない状況である。方位に従い硫黄岳を下りだしたところ、、、
 
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